文化遺産の保存分野

ああ
 
◆被災博物館の汚染ガスからみた資料と環境の安定化およびその評価手法の研究

【事業概要】

本研究では、被災した博物館などに収蔵された資料が被災空間の汚染ガスを吸着するデータを基に、汚染空気成分の吸着特性を資料の材質、修復を含む来歴、被災パターン(火災、津波、直接被災、間接被災)ごとに整理し、被災後の資料の状態変化や一時保管先、再生ミュージアムなど新たな環境下で想定される再放出物質を明らかにすることを目的とする。資料に吸着した汚染ガスの再放出は、保管先となる施設の体制を整備するうえでも非常に重要であり、それらの特性に適した抑制法の考案と現場での応急処理方法の提案をおこなう。これらの成果から、立地環境、資料材質、履歴などを勘案した収蔵資料危機レベルを算定し、資料と施設の安定化ならびに適切な資料保全を目指す。


【期間】
2014-2018

【事業予算】
日本学術振興会/基盤研究(A)

【主要な構成メンバー】
松井敏也(代表、筑波大)、和田浩(東京国立博物館)、長野克則(北海道大)、栗本康司(秋田県立大木高研)、奥山誠義(橿考研)、片岡太郎(弘前大)、平川新・天野真志(東北大)、及川規(東北歴博)
 
◆アンコール遺跡群における砂岩浮き彫りの包括的な保存修復に関する研究

【事業概要】
アンコール遺跡群では寺院建造物の修復工事が急ピッチで行われている。本研究ではこれまでの研究で得られた浮き彫りの保存科学y的処置法を発展させると同時に、建造物の修復工事に伴う構造力学的な変化に起因する浮き彫りの劣化を多分野から調査し、その実践的課題を克服することを目的とする。これにより、従来の施工対象の材質に特化した保存処置に加えて、活用整備に伴う建造物の修復工事による影響を考慮した「浮き彫りの保存修復研究」の総合化を目指す。
研究は次の4つの調査研究領域からなる。
1. 整備活用ならびに修復事例調査
2. 建造物用修復材料の調査
3. 保存修復薬剤の施行技術に関する調査
4. 浮き彫りの劣化モニタリング調査
である。

基盤Aカンボジア
基盤Aカンボジア
基盤Aカンボジア1

【期間】

2013-2016


【事業予算】
日本学術振興会/基盤研究(A)

【主要な構成メンバー】
松井 敏也 (代表、筑波大学)、澤田 正昭 (国士舘大学)、中川 武   (早稲田大学)、池内 克史 (東京大学)、片山 葉子(東京農工大学)、内田 悦生(早稲田大学)、下田 一太 (筑波大学)
 
◆完全密閉を必要としない二酸化炭素発生型脱酸素剤を用いた
文化財燻蒸代替システムの開発に関する研究

【事業概要】
文化財の燻蒸は薬剤を用いることが多く、また完全密閉式であり、簡易、簡便な方法はまだ開発されていない。本研究では準開放系での燻蒸効果を二酸化炭素発生型脱酸素剤を用いて検証する。

【共同研究企業】
三菱ガス化学(株)


【期間】
2013-2015


【主要な構成メンバー】
松井 敏也 (筑波大学)
 
組積造文化遺産修復に関する研究

【事業概要】
◆寄付企業
新成田総合社

組積造からなる文化遺産の修復に関する基礎調査を行なう。
寄付金_組積造
寄付金_組積造1

【期間】

2013年度
 
◆ボロブドゥール遺跡の保存修復対策立案のための石材劣化と
    構造安定化に関する研究


【事業概要】
ボロブドゥール寺院は1960,70年代においてインドネシア政府とユネスコの専門家グループによって抜本的な修復工事が実施された。修復工事が竣工した1973年より30年が経過し,修復工事の経過観測が求められることに加えて,遺跡近郊の火山噴火による火山灰が石材に与える劣化影響についても懸念が高まっている。石材の劣化現況を解明し,適切な保存処置を行うための岩石学的・生物学的研究に取り組む他,遺構の構造変状の観測や基壇内部構造の解明を目的とした調査を進めている。
>>事業紹介リーフレット 

ボロブドゥール1
ボロブドゥール2
ボロブドゥール3
 

【期間】
2012-

【事業予算】
ドイツ政府・ユネスコ

【主要な構成メンバー】
Hans Leisen  (Cologne University)、Esther Von Plehwe-Leisen (Cologne University)、下田 一太(筑波大学)、
岩崎 好規(地域地盤環境研究所)
 
◆生物が着生した炭酸カルシウム系材料の劣化特性とその診断手法の開発

【事業概要】
炭酸カルシウムは文化遺産に多様な用途で使われる素材である。とりわけ建築材料として用いられる場合は、建築物の表面化粧材料や目地などに多用される。屋外に曝されるこれらの炭酸カルシウム系材料は生物的劣化作用を受け、美観だけではなくその文化財的価値を著しく損なっている。本研究は炭酸カルシウム系材料が用いられた文化財に着生した生物による影響について、下の1~3の研究を行ない、1. 着生生物による劣化の診断基準を構築し、2. 個々の状況に応じた保存修復処理方法の開発に必要なデータ収集を行うこと、そして3. 遺産に負荷をかけずかつ効果的なモニタリングおよび予防方法を提案することを目的とする。本研究では特にこれまで注目されてこなかった蘚苔類や地衣類、藻類などの生物を対象としている。


基盤B_地衣類0基盤B_地衣類1

【期間】
2010-2013

【事業予算】

日本学術振興会/基盤研究(B)

【主要な構成メンバー】
松井 敏也(代表、筑波大学)、原光 二郎 (秋田県立大学)、 河崎 衣美 (筑波大学)
 
◆考古学的鉄遺物の地質環境における腐食に対する微生物影響研究

【事業概要】
人工バリア材料の炭素鋼の評価に資する目的で、長期間にわたる土中埋蔵環境が鉄系素材に与える影響を、埋蔵期間が数百年以上の考古鉄遺物を対象に調査を行う。特に土中における鉄還元能を有する微生物が及ぼす腐食に着目し、その長期腐食量を調査するとともに、出土した遺跡の埋蔵環境の評価を実施し、長期間にわたる持続的な微生物活動が人工バリア材料に与える影響を明らかにする。
土壌中での微生物挙動と鉄系素材への影響の評価、鉄系腐食生成物のデータベース構築のための指標を得ることを目的とし、1. 長期埋蔵環境がさびの形成とその構造に与える影響の調査、2. 微生物 (鉄還元菌) 腐食により生成される物質の調査、3. 埋蔵環境を模した模擬土壌における鉄腐食試験、4. 鉄系化合物に微生物活動が及ぼす影響、また5. 遺跡における腐食試験などを実施する。これにより微生物腐食の特徴やそのメカニズム解明に役立つ基礎データを取得できる。評価については、他の腐食因子による腐食との比較検討を行い、その相互作用にも着目する。また、微生物による腐食生成物の安定性、耐腐食性の評価のための因子の抽出など基礎的データを得る。

共同研究_考古学的鉄遺物0考古学的鉄遺物

【期間】
2010-2012

【事業予算】
日本原子力研究開発機構/国内共同研究

【主要な構成メンバー】

松井 敏也 (代表、筑波大学)、 李 素妍  (鳥取大学)、 吉川 英樹 (原子力機構)
 
◆歴史的建造物内部で展開される多様な利用形態が建物や収蔵文化財に
    与える影響


【事業概要】
文化遺産である歴史的建造物の多くは飲食店、アパレルや雑貨などのショップ、イベントスペースそして文化財の展示、収蔵などの資料館、博物館として利用される。歴史的建造物内部の壁や梁、装飾なども歴史的価値を有し構成要素の一つである。本研究は多様な用途に利用される歴史的建造物の内部に発生する劣化因子を調査し、「歴史的建造物を活用する場合のガイドラインの構築」を次に挙げる視点から調査し提案するものである。これまで歴史的建造物の内部の設備環境や環境汚染物質の調査は重要視されておらず、その影響は顧みられなかった。本研究の成果から「バランスのとれた歴史的建造物の保存・活用」を構築でき、内部で展開されるさまざまな利用形態による劣化をコントロールしながら保存、活用することが可能となる。


挑戦的萌芽_歴史的建造物内部0挑戦的萌芽_歴史的建造物内部1

【期間】

2009-2011

【事業概要】
2009-201日本学術振興会/挑戦的萌芽研究

【主要な構成メンバー】
松井 敏也(代表、筑波大学)
 
◆世界遺産プランバナン遺跡群の地震被害と修復に関する保存工学的研究


本研究では、2006年5月27日の地震によって被災したインドネシア共和国ジャワ島中部のプランバナン遺跡群及びその周辺の石造、レンガ造による組積造建造物遺産の破損メカニズムと修復計画策定の手法開発を研究の目的としています。
プランバナン寺院は1937年から53年にオランダによる修復が行われ、鉄筋コンクリートフレームによる補強に伝統的組積造が組み合わされた建造物です。そのため単純な組積造建造物とは異なる被災分析が必要になります。
本研究は工学的詳細調査を行うことによって文化遺産の破損メカニズムを解明するとともに、伝統技法による特性に関する詳細解明を試み、開発途上国における適切な修復計画策定の手法を検討します。
またユネスコなど国際的な協力の枠組みを視野に入れつつ、大規模災害時における適切な文化遺産保護のあり方を、技術的、工学的視点に歴史的、社会的視点を加え、文化遺産の高次な危機管理システム構築に寄与することを試みます。

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【期間】
2008-2011

【主要な構成メンバー】

上北 恭史 (筑波大学)、 花里 利一 (三重大学)、 稲葉 信子 (筑波大学)、 松井 敏也 (筑波大学)、 箕輪 親宏 (防災科学技術研究所防災システム研究センター)、 小野 邦彦 (サイバー大学)
 
◆文化財保存修復教育の実態調査とFDへの展開にむけての基礎調査

【事業概要】
日本国内で文化財保存修復関連の学科、専攻が設置されている大学は2006年度で20校を超え、文化財の保存、活用を志す学生は総数1000名を超えている。文化財保存修復の現場にはあらゆる文化財材質が存在するため、大学などでの教育機関ではそれら多種多様な材質の保存修復人材養成への対応に苦慮している。これを打開するには、個々の教員の専門性を活かした授業や教材を共有することが必要であり、それにより、より高度な専門教育実施が期待できる。本研究は演習を中心とした実践的文化財保存修復教育の実態を調査することで、教育現場での教育効果について明らかにするものである。

【期間】
2008

【事業予算】
福武学術文化振興財団/

【主要な構成メンバー】
松井 敏也 (代表、筑波大学)、加藤つむぎ
 
◆環境汚染物質が炭酸カルシウム系文化財に及ぼす影響と
    その抑制に関する研究


【事業概要】
1)収蔵庫内揮発物質が炭酸カルシウムの微細構造に与える影響
    炭酸カルシウム原材料は石灰岩と貝殻であり、歴史史料に記載された貝殻を調査し、   
    構造を把握している。これらのデータベースを元に、収蔵施設で懸念されるホルムアルデヒドや蟻酸、
    酢酸などの内装材揮発物質などの環境汚染物質が炭酸カルシウム微細構造にどのような変化を
    与えるのかを調査する。原材料の構造による吸着物質の選択性や反応感受性を明らかにし、文化財の
    予防的保存処理に有益な知見を与える。

2)小規模博物館、美術館収蔵環境と炭酸カルシウムの劣化との因果関係についての基礎データ収集
   多様な収蔵品の個々の材質が収蔵施設から受ける影響を調査し、その因果関係を明らかにすることを
   目的とする。特定の文化財に特化した収蔵、展示施設の環境調査と収蔵、展示されている文化財の
   状態調査を行い、その環境因子の影響を文化財材質毎に集計する。それにより、小型清浄機の開発の
   方向性を得ることができる。小規模施設に特化した空気清浄機を新規に開発することをも目指した研究である。

【期間】
2007-2008

【事業予算】
日本学術振興会/基盤研究(C)

【主要な構成メンバー】
松井 敏也 (代表、筑波大学)、 澤田 正昭 (国士舘大学)、 松田 泰典 (東北芸工大学)
 
◆保存修復に使用される炭酸カルシウムの経年劣化と
    その製作技法に関する自然科学的研究


【事業概要】
本研究は異なる製作技法による各種原材料のキャラクタリゼーションの違いを明らかにし、劣化試験により保管環境や修復素材としての適応性を明らかにし、それら得られた知見をもとに文化財の保存と修復に寄与することで文化財の活用を助けることを目的としている。文化財に対する修復は同じ素材で同じ製作技法で製作された原材料が使用されることが望ましいとされるものの、歴史的にどの原材料がいつの時代から、どのような技法で使用されてきたかは知られていないために原材料や製作技法を十分に吟味しないまま施されている場合が多い。本件では製作技術の歴史的な変遷を整理することも目的とする。炭酸カルシウム原材料の形態データベースを元にした、識別チャートの作成を行なった。 


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【期間】
2005-2006

【事業予算】
日本学術振興会/基盤研究(C)

【主要な構成メンバー】
松井 敏也 (代表、筑波大学)、 澤田 正昭 (国士舘大学)、 松田 泰典 (東北芸工大学)