修了生の声

 修了生の声
馬 紅博士(学術)
ma-hong │ 2009年度修了

中国 中山大学観光学院 講師 

私は2005年4月に筑波大学大学院芸術研究科修士課程世界遺産専攻(現・人間総合科学研究科博士前期課程世界遺産専攻)に初の留学生として入学しました。2007年4月には筑波大学人間総合科学研究科博士後期課程世界遺産専攻に進学し、2010年3月に同課程を修了しています。

修士・博士課程の5年間を通じて斎藤英俊先生の研究室に所属し、中国の遺産保護と観光振興に関する研究や文化遺産の持続的維持・管理に関する研究を特定テーマとして取り組んできました。それらの研究を基盤として、博士論文のテーマが設定されました。博士論文の研究は、中国の少数民族地域の文化遺産の保護と観光振興の両立が果たして可能であるのかを世界遺産「麗江古城」を対象とし、現地調査を踏まえて分析・考察したものであり。この研究は『中国における文化遺産としての歴史地区の持続可能な観光開発のあり方に関する研究―世界遺産「麗江古城」束河地区を事例として―』と題して2009年11月に学位請求論文として筑波大学に提出され、2010年3月には学位が授与されました。
現在は、中国に帰国し、広州に位置する中山大学で講師を務めています。同大学の旅遊学院観光計画学科で文化観光と文化遺産のマネージメントなどの講義をするのと同時に、文化遺産と観光の研究を続けています。

筑波大学で過ごした5年間は、私にとっては、一生忘れられない貴重な時間でした。修士1年の時から卒業後も、先生たちの授業を聴くのが好きでした。また、学外演習や研究室で行う歴史地区の保存対策調査などの研究プログラムに参加し、世界遺産専攻において実施した中国の世界遺産「麗江古城」での現地調査及び宮崎県日向市美々津の伝統的建造物群保存地区の調査に積極的に参加しました。それから、文化庁が後援するユネスコの国際会議へのボランティア参加などの経験から、文化遺産と観光の課題についての国際的視野を広げてきています。

これらの経験から、帰国後、日本と中国の制度および理念の同異を比較しながら、世界遺産をはじめとする中国における文化遺産と観光振興の両立について研究を深めようとしています。世界遺産専攻からいただいた知識と素晴らしい経験は私にとっては、一生その恩恵を受けることになるに違いないです。
 
 修了生の声境野飛鳥
Asuka Sakaino│ 2009年度修了

東京文化財研究所 文化遺産国際協力センター 
アソシエイトフェロー
在学中は、文化財保護法の成立過程について研究していました。振り返ってみると、じっくりと一つのことに取り組むことができた筑波での5年間は、本当に贅沢な期間であったと感じています。世界遺産専攻には様々な専門分野の先生方がいらっしゃることもあり、研究テーマが決まるまで時間がかかりましたが、その時先生方からいただいたアドバイスによって、その後の私の進路が大きく変わったと思っています。
現在は、東京文化財研究所の文化遺産国際協力センターにおいて、諸外国の文化遺産保護に関する理念、条約、法制度、保護の状況についての調査・研究に従事しています。様々な国での現地調査に同行させていただき、また、世界遺産委員会をはじめとする国際会議に出席する機会も得ており、学生院生時代には考えられなかったほど、幅広い経験をさせていただいています。
 
 オソリオ・カッティ
Katti OSORIO │2010年度終了

Current occupation 
Independent professional  

I have fond memories of my days as a student on the World Heritage Study programme of the University of Tsukuba. Most especially, about rich and interesting class discussions and research field trips to places such as Tomioka Silk Mill, Asakusa Temple and others; also, about working together with my classmates and the master course students at Shirakawa-Go Village, Daiou-Ji Temple, and other wonderful heritage sites. In Panama, I worked for two years at the National Institute of Culture before entering private practice of architectural conservation. I have published a few articles regarding world heritage property in Panama. My studies at Tsukuba proved invaluable at working towards creating awareness regarding the importance of the World Heritage Convention principles, and regarding the fragile state of Panamanian world heritage sites. My goal is to contribute my work to their preservation and management.
 
 修了生の声李素妍
LEE soyeon│ 2011年度修了

鳥取大学地域学部地域環境学科 専任講師

学生時代には保存科学を主たる専門分野として勉強し、博士後期課程では鉄製遺物の微生物腐食を研究対象としました。現在の仕事では文化財の保存科学を学生に教えており、保存科学に関連する講義、演習およびフィールドワークにおいて世界遺産専攻における様々な経験が活かされています。学生時代の保存科学ゼミで訪問していたカンボジア、韓国、エルサルバドルでの研修経験をもとに、現在ではゼミの学生とともに韓国での学外研修を行っています。また、様々な世界遺産に関する講義を受講したことをもとに、世界遺産と文化財保存科学を関連づけて講義をすることに努めています。筑波大学世界遺産専攻において広い世界を経験させてくださった恩師のように、今後、文化財の保存科学を通じて学生に様々な世界を体験する機会を設け、学生がその経験をもとに新たな道を拓けるように手助けしたいと努めています。